札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第4巻 通史4

第八編 転換期の札幌

第九章 大衆文化・モダニズム・文化統制

第三節 美術

 カフェ文化全盛の大正十五(昭和元)年度の美術展が表3である。ルビー喫茶店(南1西3)では、繁野三郎、山田正今田敬一らが小規模な個展を、カメヤ喫茶店(ススキノ4丁目)では、加藤悦郎や新聞連載漫画「氷上ユーモレスク」の原画展覧会(一月十五日~十七日)が開かれる。「外山卯三郎個人展覧会」(二月十一日から)は札幌堂書店で開かれる。モダニズムをになう若者が、カフェで展覧会を催している。
表-3 大正15年の美術展覧会
展覧会名主催者期日会場
山田正小品個展
児童画展
漫画原画展
五人小品展
今田敬一個人展
柳谷七郎ペン画展
外山卯三郎個人展覧会
加藤悦郎漫画展覧会
山野全九作品展
燐寸レッテル展
札幌素人書画会
郷土社第二回作品展覧会
島崎貢蒐集洋画展
北大美術部展覧会(創基50年記念)
五人作品展覧会
加藤悦郎第二回似顔漫画個人展
各派連盟第二回美術展
三画伯揮毫会
菊池良吉個大展
めばえ会洋画展
平原社洋画展
佐藤武造作品展
渡辺直堂画会
洋画個人展
長谷川三雄洋画個人展
黒田東保南画会
北沢楽天漫画揮毫会
伊藤晴雨劇画会
小画展覧会
伊藤泰山展覧会
書画展観
書画展観
矢尾太華南画揮毫会
第二回札幌版画展覧会
黒百合展
第二回全北海道美術展覧会
チラシ広告展覧会
素人書画会
手塚洋画個人展
第一回漫画展覧会
高橋和足洋画個人展
山内弥一郎小品日本画個人展
大家の作品展覧
米内豊隆所蔵作品展覧会
札鉄絵画同好会第一回展覧会
岡島龍洋画個人展
郷土社

北大美術部





札幌二中










審美書院
報知新聞美術部

札幌詩学協会
黒百合会


札幌素人書画会

日本漫画家聯盟北海道支部




札鉄絵画同好会
 
大15.1.4~10
大15.1.14~16
大15.1.18~
大15.1.23
大15.2.3~ 8
大15.2. ~ 6
大15.2.11~
大15.2.12~18
大15.3.9~
大15.3.17~23
大15.4.10~12
大15.5.8~ 9
大15.5.11~17
大15.5.14~17
大15.5.20~24
大15.6.5~ 6
大15.6.12~13
大15.6.13~15
大15.6.23~25
大15.6.26~27
大15.6.28~30
大15.7.5~ 7
大15.7.10~11
大15.7.10~12
大15.7.20~22
大15.8
大15.8
大15.8.1~ 3
大15.8.19~25
大15.9.11~12
大15.9.15~17
大15.9.19~20
大15
大15.9.25~29
大15.9.28~30
大15.10.1~17
大15.10
大15.10.16~17
大15.10. ~12
大15.10.20~24
大15.10.25~27
大15
大15.11
大15.11.6~
大15.11.20~21
大15.11.23~25
ルビー喫茶店
時計台
カメヤ喫茶店
ルビー喫茶店
ルビー喫茶店
ルビー喫茶店
札幌堂書店
ルビー喫茶店
ルビー喫茶店
ルビー喫茶店
三吉神社
有隣生命階上
ルビー喫茶店
北大予科教室
有隣生命階上
カメヤ喫茶店
新善光寺
丸井
アキノ喫茶店
有隣生命
丸井4階
丸井4階
中央寺
アキノ喫茶店
丸井4階


薄野万安料理店2階
アキノ喫茶店
新善光寺
新善光寺
新善光寺

停車場通商品陳列所
丸井
農業館

三吉神社
アキノ喫茶店
丸井4階
丸井


鉄道集会所
札鉄集会所
豊平館
『北タイ』,『札幌の絵画』(新聞スクラップ関係資料 北海道立近代美術館所蔵)より作成。

 大正十五年度の丸井呉服店では、帯広の平原社や黒百合会といった洋画が中心で、官の後援がある秋の第二回全北海道美術展は、唯一中島公園農業館で開かれる。
 それに対して、大正十五年六月十二日から十三日までの「現代日本画帝展、院展各派聯盟第二回美術展覧会」をはじめ、日本画、南画、書画会などは、新善光寺三吉神社といった社寺で展覧会を行っている。
 大正末から昭和初期の札幌の喫茶店で、小規模な展覧会や漫画展覧会の会場となったものに、カメヤ、ルビー以外では、アキノ(南1西4)、三条、一等(カメヤ隣り)、白十字(白樺、北3西3)、不二(狸小路7)、ブラジレイロ(南3西3)がある(図1参照)。

図-1 札幌の文化関係地図

札幌の文化関係地図対応表
No.会場主な催し
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
北海道帝国大学
清華亭
帝国製麻
カフェーパウリスタ
白樺(白十字)
丸善
鉄道集会所(鉄道俱楽部)
エンゼル館(金春館)
山形屋旅館
ネヴォ
北海石版所
メソジスト教会
商業(工)会議所
時計台
商品陳列館(北海道物産館)
民衆会館
武林写真館
市公会堂
ローリー館
日本キリスト教会
豊平館
北海タイムス
北海道拓殖銀行
組合教会
精養軒
酒造組合
今井記念館
今井呉服店
三越
三吉神社
亀屋
アキノ
アカシヤ書店
隆文堂
冨貴堂
有隣生命
維新堂
東京庵
遊楽館
カフェ三条
明正堂
日活館(三友館)
帝国館(盛賑館)
中央館
ブラジレイロ
明治製菓
博品館
札幌劇場
いく代
カフェーエルム
アカシヤ楽器店
松竹座
亀屋
西の宮
太平館
西田座
美満寿館
新善光寺
宝瑩座
中央寺
寿館(美登紀館)
西の宮
農業館
北大美術部展覧会(創基50年記念)
第1回黒百合会
工場ポスター展
炭光任作品頒布会
漫画原稿
小山昇洋画展
兼重暗香日本画個人展、札鉄音楽部
映画,ボリス・ラス(バイオリン)等
来札の文化人が宿泊
佐藤八郎丘みづほ経営,原稿短冊色紙展覧会
本間昭夫の家

版画展覧会
北中展覧会,田上義也(バイオリン)等
札幌支部第1回プロレタリア美術展
12年社洋画展
明治5年創業の写真館
建国祭音楽会,ジンバリスト(バイオリン)等
団栗画会第10回展覧会

桑重儀一洋画個人展,札幌混声合唱団,高階哲夫(バイオリン)
杉渓六橋日本画展覧会
拓殖銀行劇友会

松島正一小品展

能勢真美個人展,札幌シンフォニー,鈴木ピアノ塾
山崎省三個人展
素月社日本画展
升家謙三洋画個人展,札幌素人書画会
加藤悦郎第二回似顔漫画個人展,田上義也設計
菊地良吉個人展


菅原無田南画個人展,札幌プレクトラム・アンサンブル
めばえ会洋画展

山口黄鉄書画個人展
映画
倉原武小品洋画個人展

映画,三浦環,奥田良三(声楽)等
芝居・演劇,先駆舞台芸術協会・追分節大会・石井漠の舞踊等
映画・演劇等
石山貞雄青布画展
間宮勇水彩画個人展
蒼玄社小品展覧会
芝居・演劇,築地小劇場・歌舞伎・パブロワの舞踊・邦楽演奏会等
浮世絵展覧会

石井春省経営
映画,楽聖ベートーヴェンの夕べ,劇団第一歩公演等


地元劇団の稽古場,邦楽演奏会,札幌詩学協会無審査洋画展
芝居・演劇等
映画
書画展観
映画・演劇,ケンプ(ピアノ)・歌舞伎等
渡辺直堂個人展
映画・演劇等

北海道美術展(道展),上野山清貢個人展
『北方のモダン』(道立三岸好太郎美術館),『北タイ』,『札幌歴史地図』(昭和編)より作成。

 大規模な展覧会が行われた農業館では、道展のほかに、黒百合会蒼玄社(昭3以降毎年)、フランス美術展(昭3、5)、上野山清貢洋画個人展(昭4・5)、一九三〇年協会洋画展(昭4・6)、楚人社北海道美術家聯盟展(昭6・5)といったものが開かれた。昭和八年八月には、小室翠雲ひきいる日本南画院の札幌ではじめての展覧会が農業館で催され、初日だけで一千余人の入場があったという(北タイ 昭8・8・28)。農業館は明治三十九年十一月六日の建設で、満三〇年を経て、腐朽が甚だしく採光の不備、雨漏りもあり、上野山清貢北海道美術館の建設を提言する(北タイ 昭10・10・2)。
 大正期から丸井や今井記念館(大15・11開館)では、展覧会が開かれていた。昭和七年五月一日に三越札幌支店が開業して、その月に第二回北海道美術家聯盟展を開いてからは、丸井と三越は競うように小規模な展覧会を行い、デパートがカフェに代わり個展などの主たる発表の場となってゆく。