札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第4巻 通史4

第八編 転換期の札幌

第六章 社会運動と女性問題

第三節 農民運動

二 昭和前期の小作争議

(一)篠路村学田地の争議

 昭和四年に入って、第五回の調停までは「両者ノ主張ニ相当ノ距離」があって「不調ノ侭散会」といったケースもあったが、八月の第六回調停の際、谷部長判事は「争議ノ永引クハ村統治上甚ダ不利益ナルヲ以テ速ニ妥協スルノ有利ナル」ことを述べ、あらかじめ時田小作官と合議して作成した調停案を呈示した。その後事態は急転回を遂げ、十月十六日の第七回調停において篠路村と小作人の調停が成立、「円満解決」となった。最終調停案は全七カ条から成立しているが、その骨子を紹介しておこう。
学田地の賃貸借契約期間及び賃料の改訂期間を各五年とし、昭和三年度更改の二七名及び同四年度更改の四名は、共に四年度からの更新とする。
賃料は、第一期(昭和四年度~八年度)は反当り二円五〇銭、第二期(九年度~十三年度)に改訂する場合は、隣地賃料の六割以内とし、第三期(十四年度以降)以降の場合は、同じく七割以内とする。
篠路村が「耕地」として所有する限りは、期間更新毎に賃借人との契約を継続すること。
賃借人がその賃借権を譲渡しようとする場合、相手が「相当」と認められる場合には村側も許可すること。
賃借人は、賃借権の「転貸」をしないこと。
現在賃借権を「転貸」している者は、五年度中に解消すること。

 この他に、両者間の「付帯協約」条項として次の三項が決定されている。
①小作人は、将来村の所定する賃貸借規則を遵守すること。
②村が将来土地を解放する場合には、小作人の先買権を認めること。
③天災その他不可抗力による不作の場合には、小作料の減額を行うこと。
(北タイ、樽新 昭4・10・19)

 争議解決後、この調停に関わった道庁の時田小作官は、その成果として「(小作人の)耕作権ノ確立ヲ見、且ツ土地ノ転貸(又小作)ヲ排斥シテ之ヲ整理シタルコト」を挙げている。