札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第4巻 通史4

第八編 転換期の札幌

第二章 市制施行と行財政

第七節 地域自治と治安

一 住民組織と町内会の成立

 大正九年以降が住民組織の発展期となっていくが、この時期に創設された住民組織の中では、地区の公共施設の整備と振興活動を積極的に推進した会として山鼻自治会桑園自治会、鉄北地区では鉄北会鉄北平和会、第十二区発展期成同盟会、豊平地区では豊平白石自治協会豊平同志会、豊平発展期成同盟会などがある。
 まず山鼻自治会(会長・杉本喜久治郎、のち神田直太郎)は、「山鼻町の発展を図り会員の親睦を敦ふする」ことを目的とされて(規約第二条)、大正九年十二月十九日に創設されている。同会ではたとえば十一年十一月十九日に町民大会を催して、①道路開鑿の件、②用水路幹線掘鑿の件、③下水諸施設の件、④山鼻小学校増築の件、⑤町名番地変更の件を決議して市当局に要請することにしており(樽新 大11・11・21)、住民生活に必須な道路、防火用水、下水道、学校などの施設整備につき協議し、札幌市への陳情活動を行っていた。

写真-15 山鼻自治会が施設の整備を要請した山鼻
(山鼻開村50周年記念パレード時の南16条通,大14)

 桑園自治会(会長・中西八百吉)は大正十年四月三日に、「自治の発達を計り公共問題の研究、会員相互の親睦」を目的に創設されていた。当初は桑園駅の開設に尽力したようであるが、その後は北大植物園の開放と公園化、小学校の新設、電気軌道の延長、庁立高等女学校の移転、札沼線の桑園分岐などの問題につき活動を展開していた。同会は昭和十一年まで活動が確認できる。
 鉄北会は大正十年三月二十日に、「札幌区鉄道以北の発展を計り併て公共事業に対し共同一致の努力を為す」の目的で創設された。発会式にて発表された「宣言書」によれば、学校、上下水道、架橋、電車延長などの公共、生活関連施設の整備を要求する以下の九項が活動要項とされていた。
一、鉄北会札幌区政の方針を遒守し之が援助を為す事。
二、北九条小学校狭隘の為め鉄北適地に更に一校の急設を期する事。
三、火防衛生の保全を期する為め道路に上下水等の設備を進捗せしむる事。
四、創成川に架設すべき北十三条以外橋梁の速成を期する事。
五、札幌停車場の位置を北部に移転するを其筋に請願する事。
六、札幌電気軌道会社に対し軌道を鉄道以北に延長方を交渉する事。
七、本会々員は常に時間を励行する事。
八、街路の通行は人馬車とも左側通行を励行する事。
九、本会々員は年末年始の交礼会を北九条小学校内に挙行する事。

 以上の三会は、広域にわたる地区組織でいずれも当時の新興住宅地であり、その分だけ公共施設の整備が遅れていた地域であった。それだけに地域振興と生活施設整備の要求は強く、活発で強固な住民組織を形成したとみられるのである。それと同時に札幌市、市会に対するプレッシャー団体という性格をもっていた。山鼻自治会の役員には有力な市会議員もおり、陳情活動には便宜を得ていたようでもあり、また市議選に際しては町内会が市議の支持・選出母体となっていたとみられる。鉄北会では要求実現のために大正十一年十月の市会議員選挙にて(二級は三日、一級は五日に実施)、「鉄北及愛市の念を有する適当の人物」を推薦しており(北タイ 大11・9・8、10)、この頃から住民組織と選挙の関係が強まってくる傾向が認められる。