札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第4巻 通史4

第八編 転換期の札幌

第二章 市制施行と行財政

第三節 市会

二 市会の運営

 区制のもとでは参事会を設置することが許されず、不便をきたすことがたびたび起こったので、札幌区の市制要望の背景に参事会開設が大きな比重を占めていた。数多い事項のすべてを区会で審議することは煩雑であるばかりか困難であり、時機を失することのできない緊急の案件への対処にも、さらに法的解釈にわたる専門的知識による判断を必要とする案件でも、市(区)会の委任を受けた小人数による議決、諮問が必要であった。これを設置すれば市(区)会で議決した範囲内で、その細目に及ぶ事項を適時に処置することができるからである。
 これを認めた市制第六七条は、その職務権限として次の三項をあげている。
一 市会ノ権限ニ属スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スル事
二 市長ヨリ市会ニ提出スル議案ニ付市長ニ対シ意見ヲ述フル事
三 其ノ他法令ニ依リ市参事会ノ権限ニ属スル事件

 一項目については、市制第四三条で「市会ハ其ノ権限ニ属スル事項ノ一部ヲ市参事会ニ委任スルコトヲ得」とあり、札幌市会は委任事項を次のように決めた(大11・11・8 告示三八号)。
一 不動産、基本財産、積立金ノ管理ニ関スル件
二 不要品処分ノ件
三 官庁ノ命令又ハ指示ニ依リ主旨ニ変更ヲ及ホササル範囲ニ於テ市会議決事項ノ字句修正ヲ為ス件
四 法律、命令ノ結果ニ依ル予算更正ノ件
五 負担条件ノ伴ハサル動産、不動産並ニ労力ノ寄附又ハ譲与ヲ受クルコト及ヒ之ニ関スル歳入出予算追加ノ件
六 年度繰越ニ依ル歳入出予算ノ件
七 財源ヲ課税又ハ起債ニ求メサル金額壱千円以内ノ歳入出予算追加更正ノ件
八 金額壱千円以内ノ予算各項ノ金額流用ノ件
九 収入役代理者ヲ定ムル件
十 市吏員ノ身元保証ニ関スル件

 大正十五年、市長の諮問機関としての権限が廃止され、純然たる議決機関となったが、その後もしばしば制度改正があり、昭和十八年の市制改正を迎え、さらに大きな変更をもたらした。その結果、右の事項は同年六月二十六日付をもって次のように改正され、市会権限は大幅に参事会の代議決に委ねられることとなったのである(告示六五号)。
一 市ノ名称変更又ハ市役所ノ位置ノ決定及変更
二 市会議員定数ノ増減ニ関スル市条例ノ設定改正及之ニ属スル議決
三 選挙区ニ関スル市条例ノ設定及改正
四 助役ノ定数増加ニ関スル市条例ノ設定及改正
五 市長ヲ名誉職ト為スコトニ関スル市条例ノ設定
六 副収入役ノ設置ニ関スル市条例ノ設定及改正
七 行政区ノ設置及変更
八 参与ニ関スル市条例ノ設定及改廃
九 費用弁償及報酬ニ関スル市条例ノ設定及改正
十 退隠料退職給与金、死亡給与金、及遺族扶助料ニ関スル市条例ノ設定及改廃
十一 特別会計ヲ設クルコト
十二 決算報告ノ認定
十三 財源ヲ市税増徴又ハ五十万円以上ノ起債ヲ求ムル追加更正予算ヲ定ムルコト(市債借入年度ノ繰越ニ依ルモノヲ除ク)
十四 予算外義務ノ負担ヲ為スコト及権利ノ抛棄ヲ為スコト
十五 市税ノ新設及増徴
十六 五十万円以上ノ市債ヲ起スコト
十七 財産ノ取得、管理及処分並ニ市費ヲ以テ支弁スヘキ工事ノ執行ニ関スル市規則ノ設定及改廃
十八 市町村組合ニ関シ其ノ設立、加入、脱退、解散及共同事務ノ変更並ニ之ニ伴フ財産処分

 参事会の組織は当初、市長、助役、そして市会議員中より選出された六人の会員をもって構成されたので、市会での会員選挙が重要案件となった。はじめ会員は議員任期と同一とされたが、大正十五年から二年に変わり、昭和四年から議員選出定員を一〇人と改めた。同時に市長は単なる議長役をつとめるだけとし、また助役が会員から除かれ、次第に市会の代議決機関として権限が強化され、昭和十八年には参事会会議規則(札幌市告示七九号)が制定された。それまでは市会に準じていたが、会議の公開は原則として許されなかった。
 初期の参事会の様子を札幌市公報六号からうかがうことにしよう。大正十二年二月十二日から十九日まで連日開かれた参事会には、三二議題が提出審議されている。その中心は、この月の二十一日から開かれる市会へ提出する予算関係案件で、市税、市債、職員俸給等が含まれていた。このほか窮民救助規程、財政調査委員規程、名誉職区長設置規程など二八件の市長提案に同意し、決算関係の二件は継続審議とした。さらに市長俸給額に意見を付し、寄付採納の件は原案通り可決した。初日と最終日の様子を公報から抄録する。
    市参事会の状況
二月十二日午後二時五十分開会午後五時二十分散会シタリ。議長ハ市長職務管掌馬場義也氏ニシテ出席員ハ大島金蔵木下三四彦、塚島由太郎、長谷川哲三郎ノ五氏。欠席員ハ阿由葉宗三郎足立庸三両氏。参与員各課長ニシテ第一号案ニ付一読会ヲ開ク。
  (中略)
二月十九日午前十時三十分開会午後四時十分散会。
 出席員議長、木下、大島、塚島、長谷川ノ五氏ニシテ、欠席員阿由葉、足立ノ両氏トス。参与員ハ前日ト同シ。第二十九号第三十号審査シタルノ外第三十一号案ヲ審了シ、散会後鈴木主事ノ案内ニテ小学校敷地ノ実地踏査ヲナシタリ。
(札幌市公報 六 大12・12・25)