札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第3巻 通史3

第七編 近代都市札幌の形成

第一〇章 宗教活動の社会的展開

第二節 寺院と「市民仏教」の展開

一 寺院・仏教と地域社会

 東北移民と曹洞宗の関係は、藻岩村の宗派別割合によくあらわれている(表6)。ここでは曹洞宗が四七・六パーセントと最も多く、浄土真宗は三六・二パーセントで二番目となっている。藻岩村の中心区域は円山であったが、ここは山形県出身者が圧倒的に多いところである。『札幌郡藻岩村大字円山部落状況』(明44)によって本籍者二〇九人の元籍をみると、山形県が一〇八人と半数以上を占め、続いて岩手(二八人)、新潟・青森(一〇人)となっていた。また大正十一年の人口出生地府県別表(藻岩村勢一班 大12)によれば、北海道の二五七八人を除けば山形県が四五七人で一位となっている。表5から判明するように、山形県は禅宗の方が浄土真宗よりはるかに割合が高い。藻岩村ではこのことが明瞭に反映されているのである。
表-6 藻岩村の宗派別割合(大11)
宗派信徒数割合
曹洞宗348戸1,775人47.6%
真宗2441,34836.2
日蓮宗442426.5
真言宗422115.6
浄土宗241072.9
臨済宗9381.0
天台宗150.1
合計6883,726100.0
1.割合は人数より算出。
2.『藻岩村勢一班』(大12)より作成。

 琴似・発寒村は『札幌郡琴似発寒村是調査』(明37)によると、両村民六一〇戸のうち仏教五一三戸、神道八六戸、その他一一戸とされている。兵村民の一部は神道でその他は真宗、禅宗、日蓮宗、浄土宗などの仏教とされている。また新琴似はほとんどが仏教であり、仏教の中でも琴似旧民や発寒では日蓮宗が多かったという。
 ところで琴似村の場合『町村誌資料』(明44)では、「元兵村移民ハ概シテ信仰深カラズト雖トモ他ノ移住民ハ信仰ノ念深ク中ニモ(加賀、能登、越中、越前)ノモノヽ如キハ先天的ノ迷信動カスベカラサルモノアリ」とされ、福井(越前)・石川(加賀、能登)・富山(越中)県からの移住民は、「先天的ノ迷信」といわれるほどの「信仰ノ念(の)深」かさであった。もちろん、ここでの信仰は浄土真宗をさしている。