札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第3巻 通史3

第七編 近代都市札幌の形成

第一〇章 宗教活動の社会的展開

第一節 神社と国家神道

二 神道儀礼

 天皇の就任儀式である大正大礼と国家神道との関わりについてみたい。
 大正大礼に際し、いかに札幌の区民が神道儀礼で奉祝するように徹底されたかは、札幌区役所より各戸に発せられた奉祝方法のマニュアルによって知られる(北タイ 大4・10・19)。
即位礼当日(十一月十日)
一、各戸に於ける奉祝方は大体新年の儀に準じ、門戸には国旗を掲げ可成常磐木を立て注連縄を張ること
一、神棚を浄め供物を奉り鏡餅を供へ其の他相当の装飾を施し酒肴餅又は赤飯を調へ一家団欒して聖寿の万歳を祝し奉ること
一、神社に参拝すること
大嘗祭当日(十一月十四日)
一、当日札幌神社三吉神社等に大祭あるべきを以て可成参拝のこと
一、酒食を調へ神棚に供へ且つ家内一同会食すること

 また札幌の学校の奉祝については、大嘗祭当日は、第一第二中学および北海中学は、札幌神社三吉神社の参拝を行い、各小学校では即位礼当日は三大節の時と同じく、御真影開扉、君が代合唱、教育勅語奉読、大嘗祭当日は札幌神社の参拝が計画された(北タイ 大4・11・6)。
 各神社の大典奉祝はさまざまであり、藻岩の伏見稲荷神社では札幌区役所他一六カ町村役場員の植樹奉告祭が行われ、琴似村江南神社では奉幣使殿が新築され、琴似神社は社殿を村内中央に移転するほか、神饌所を新築し村社昇格を出願した。手稲村西野神社は幣殿拝殿を新築し地域の大嘗祭を執行し、諏訪神社でも境内拡張、社殿修繕、大嘗祭執行がなされた(北タイ 大4・11・7)。
 大嘗祭当日の十四日に札幌神社へ遣された勅使は、道庁長官代理(橋本内務部長)・参向随員道庁属・護衛札幌警察署長であり(北タイ 大4・11・15)、北海道全体の行政の長が総鎮守の札幌神社に勅使として派遣され、警察が護衛する構造は、ヒエラルヒーとして地域に下りてくる。札幌区レベルでは、神社は三吉神社であり、奉幣使阿部札幌区長、随員区書記、警騎の護衛(北タイ 大4・11・14)、さらに周辺諸村では、琴似村江南神社大嘗祭に奉幣使宮崎村長、参向随員石山書記・護衛巡査が参列した(北タイ 大4・11・20)。
 また、東京での大嘗祭庭積机代物への新穀献納とならんで、官幣大社札幌神社や国幣中社函館八幡宮・県社住吉神社・姥神大神宮への精米・精粟の供御が、有珠郡伊達村大宮文之丞、上川郡東旭川村佐坂竹太郎といった精農家によって行われた(北タイ 大4・5・12)。同様に、北海道神職会札幌支部会では、札幌神社札幌支庁管内の神社で行われる地域の大嘗祭庭積机代の米作付を、平岸村や簾舞村に設定している(北タイ 大4・7・2~5)。