札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第3巻 通史3

第七編 近代都市札幌の形成

第一章 札幌区の成立

第四節 都市計画的事業の形成

二 都市計画的行政の施行

(二)都市的機能整備

 次に明治四十年に作成された中島公園円山公園の設計方針を掲載する。計画書はこの他に地区ごとに、施設の設置について詳細に記している。
中島公園
 札幌区中島公園設計方針
中島公園は本区の南端にして地位高燥面積広闊喬木老樹黙々繁茂し東方は豊平川の本流に沿ひ其分岐鴨川の清流は園内を環流し西方に藻岩山の秀峰其他限りなき遠山雲表に聳へ呼称の間におり空気清爽閑雅幽邃の地境にして頗る風光に富めり況や斯る景勝の地市街に接近しあるは全国罕に見る所にして少しく人工を加へんか公衆来て楽まんと欲するもの陸続踵を接し当初の目的を達するや明なり故に主として天然の景致を利用し猥りに人工を施さゞるの方針を採れり之が設計を判明ならしめんが為め全境を三区に分割し
第一区は主として自然の美景を利用し在来の池を取拡め遊船場となし旧馬場を改良し多数人の集合に適すべき大運動場を設置し桜樹を植栽し其周囲に大小の曲線道路を開き豊平川と鴨川の分岐点に丘を築き以て園の内外の眺望に供し岡田花園に大改良を加へ逍遙者の娯楽に便ならしめ
第二区は豊平川堤防敷地を利用し自然的動物園を設置し鹿其の他の動物を放養し中央に湧出せる清水の付近に大池を新設し水草を点綴し魚鳥を放養し老人婦女子の娯楽に供し又北都の一区域を公会堂建設予定に選定し
第三区は中央の地に池を新設し大梅林を設け大小の曲線歩道を開き紅白の梅樹を疎植し林下に花卉秋草等を散植し四時の観覧に供し馬車道の西隅に約四千坪の遊泳場を設け周囲に常緑木を密植し遊泳池を見透さゞるに務め
以上三区を通して公園の外部を一廻すへき長延約二十余町幅員七間の馬車道を開設し豊平川の堤防十余町に桜樹を並植し東都の墨堤に髣髴たらしめ各区に四阿、茶店、割烹店、飲料水井便所等を設置すへき位置を選定し各樹下に露床を散置し公衆に不便なからしむるの方針を以て計画せり(後略)


写真-5 大正初期の中島公園

円山公園
 札幌区円山公園の設計方針
円山公園は本区の西部に位し地勢丘状を為し面積広闊にして喬木老樹蓊蔚と繁茂し南方に円山官林西方円山又は三角山、手稲山等の高峰を控へ西方頂上の瀑布の下流は円山の麓数百間を環流して神社の前面に注き北方は晴れ渡り眼下付近の村落石狩原野遙に雄冬岬は双眸の裏に集り遠近の風景掌の間に掬すへく一たひ是に登れば神気快活自ら塵俗を離れ仙界に入るの威あらしめ衆庶偕楽の地として好適の地なり況んや札幌神社の境内は東西南の三方公園に接続林又は扁柏杉松樹の緑滴たゝる森林の如きは本道に罕に見る所にして最も妙とす故に之か連絡を計るに於ては境内を高尚ならしむると同時に公園の美観を添へ全国に稀なる大公園と信す斯る天然の景勝に対し妄りに人工を加へ多くの花木を植ゆるときは独り此地の景致を損するのみならす却て勝地を害するの謗を免かるゝこと能はす故に主として天然の美景を発表するに力め猥りに人工を加へさるの方針を採れり之か設計を判明ならしめんため全境を二区に分割し
第一区円山入口右側現在の畑地の中央に渓流の下流を引注し大池を新設し水草各種を点綴し魚を放養して老人婦女子の娯楽に供し其周囲全部を梅林となし紅白の梅樹を植栽し林下に花卉秋草等を疎植し四時の観覧に供し梅林中には若干の曲線歩道を設置し又円山入口より森林を経て頂上村落に至る旧道を取広け沼の西方より折曲り北方境界点を迂回して神社の北境に沿ひ鳥居前より南方に折曲本道に出て公園を一廻すへき車馬道を開設し神社の後方森林の中心全部を芝生原野となし多数人の集合に適する運動場を設け其周囲に約十五町の競走道を新設し森林中には紅葉黄葉樹を散植し秋季満山に美観を添へ林下に走蛇的曲線道路若干を開設し逍遙に便ならしめ
第二区円山入口左側在来畑地全部を平坦地となし周囲に松桜樹を疎植し一隅に体操器を据付清水を利用して飲料水となし南方松林中に小径を開設し学校其他の運動場に供し養樹園事務室を改良し同付属舎を移転し構内に大弓場球戯場等を設けて集会所となし渓流約五百間に沿ひ歩道を開設し渓流中に若干の橋を架し散策に便ならしめ頂上の瀑布を改良し美観を添へ沼を浚渠し護岸を修理して湖水となし遊舟を浮へ
第三区は現今公園に必要なき地なる故に樹木培養所を設置する等なり
以上両区を通じて四阿、茶店、割烹店、飲料水井、便所等の位置を選定し樹下に露床を散置して公園の娯楽に遺憾なからしむるの計画をなせり(後略)