第六編 道都への出発
第七章 札幌進展期の社会生活と文化
第五節 都市衛生の整備と災害
五 水害とその他の災害
開拓使以来、人畜・耕作物等を損傷する有害鳥獣に対し賞金をもって獲殺奨励してきたことは第五編九章において触れた。
十九年以降においても、札幌の開墾地や放牧場には毎年のように熊が出没し、人畜・耕作物への被害は僅少ではなかった。十九年の札幌郡における有害獣獲殺数は、熊六六頭、狼二三八頭におよび、その手当金は二五七八円にのぼっている(北海道庁統計書)。表28は、二十年代の札幌近辺の熊の害と獲殺概要を当時の新聞から拾ったものである。この表によれば、多くの耕作物が荒らされたり、また放牧地の馬が被害に遭っている。時には二十九年のように人命が奪われることもしばしばであった。これは動物の生態系に人類が踏み入ったからにほかならない。
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