札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第2巻 通史2

第六編 道都への出発

第五章 教育の充実

第二節 初等教育の諸問題

一 就学率と財政の問題

 前編および本編で記述したように、この時期の小学校維持経費は、授業料、戸別割(協議費)、および学田など財産収入からなっていた。参考までに豊平戸長役場内各小学校の収入予算を示すと表10のとおりであり、それの各款ごとのパーセントを求めると表11のようになる。金額でみると、尋常高等小学校である豊平小が際立って多く、他はあまり大きな差はない。しかし比率でみると、村の成立および学校の設置が行われた豊平・白石・月寒の各校は第一・第二款収入の割合が多い反面、第四款の村費賦課は少なく、特に前二者にその傾向が強い。これに対して比較的新しい集落に、新しく設置された信濃・大谷地両校の場合は逆に第四款に集中している。すなわち早期に成立した学校では学田等も収益を挙げ、また父兄も授業料を納入し得るだけの経済力をもつ場合がかなりに多いが、新開地域の新設校ではそれらが難しく、賦課金に頼らなければならない場合が多かったと思われる。また平岸では授業料を全く徴収していない。同村は開村は早く、開校が遅れていて他の学校とはこの点で異なっており、理由を明らかにし得ない。あるいは就学率向上のための措置であろうか。
表-10 豊平戸長役場内各小学校経費収支予算書【明治28年度─収入の部】

校名

科目
豊平尋常高等小学校白石尋常小学校信濃尋常小学校大谷地尋常小学校平岸尋常小学校月寒尋常小学校
第1款 財産より生ずる収入325円20071円5003円7350円0004円80027円000432円23銭5厘
 1項 貸付金利子60 . 00061 . 5003 . 7350 . 0004 . 80027 . 000157 . 03 . 5
 2項 学田収益265 . 20010 . 0000 . 0000 . 0000 . 0000 . 000275 . 20 . 0
第2款 雑収入187 . 15051 . 9001 . 50025 . 0000 . 90036 . 300302 . 75 . 0
 1項 授業料185 . 35050 . 4000 . 00025 . 0000 . 00034 . 800295 . 55 . 0
 2項 雑入1 . 8001 . 5001 . 5000 . 0000 . 9001 . 5007 . 20 . 0
第3款 前年度越金1 . 1092 . 4123 . 7250 . 0000 . 8232 . 22910 . 29 . 8
 1項 前年度越金1 . 1092 . 4123 . 7250 . 0000 . 8232 . 22910 . 29 . 8
第4款 村費賦課88 . 25148 . 958115 . 00080 . 000151 . 587171 . 941655 . 73 . 7
 1項 戸別割50 . 00035 . 000115 . 00080 . 000143 . 987131 . 741555 . 72 . 8
 2項 営業割38 . 25113 . 9560 . 0000 . 0007 . 60040 . 200100 . 00 . 9
合 計601 . 710174 . 770123 . 960105 . 000158 . 110237 . 4701401 . 02 . 0
『豊平町史資料』11-教育による。

表-11 同前(表-10)収入比率 (%)
科目
校名
第1款第2款第3款第4款
豊平尋高小54.031.10.214.7100.0
白石尋小40.929.71.428.0100.0
信濃尋小3.01.23.092.8100.0
大谷地尋小0.023.80.076.2100.0
平岸尋小3.00.60.595.9100.0
月寒尋小11.415.30.872.5100.0
『豊平町史資料』11-教育による。

 いずれにせよ、この時期の学校の維持に関しては、就学者の増加、施設の老朽化等の問題を抱えながら、ようやく本格化したといえよう。