札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第2巻 通史2

第六編 道都への出発

第三章 周辺農村の発展と農業の振興

第三節 農業生産の定着

三 畜産業の展開と林業

 札幌をとりまく豊富な山林は、開拓使以来札幌本府建設をはじめ市中や村の人びとの生活にとって欠くべからざる大切な資源であった。このため早くから濫伐を防止し山林資源の保護に努める必要に迫られた。札幌郡のうち厚別・発寒・発垂別・真駒内・簾舞・野津幌の六カ所を官林と設定し、札幌市中・村々の伐木場としては札幌郡手稲村の山林のみに限定したのはこのためである。それでも明治初年の濫伐は目に余るものがあり、円山・藻岩山等を禁伐林にしなければならない状況であった。
 明治初年の山林行政は国有林をはじめとする諸官林所有制度の確立とその維持・管理にあったが、次第に山林制度が整備され、国有未開地処分が進行し、開拓が進むにつれ状況に変化が生じた。これまで無価値に近かった木材が価値を得て、札幌市場でも椴松一石の価格は、明治十九年六〇銭に対し、二十九年一円九〇銭にも上昇した(新北海道史第四巻)。このため立木処分の方法にも時代の要請が反映し、変化がみられるようになった。
 二十年代の官林木や官林産物の払下は、二十一年五月公布の「官林木特売規則」、「官林雑産物特売規則」および「官林産物公売規則」(庁令第三一、三二、三三)によって全道的に統一・整備された。「官林木特売規則」では、林木払下は払受人自身の用途に消費する時と、炭焼営業用に供する時に限られ、また「官林産物公売規則」では、公売は入札の方法によることとなった。
 実際に札幌郡の場合、立木・枯木の払下状況を『北海道庁統計書』でみると十九年より二十八年では表22のごとくであった。用途としては、用材と薪炭用の二種があった。
表-22 札幌立木・枯木払下状況(明治19~28年)
数 量代 金
用材用薪炭用
明治19年立枯30409本
2669
6917本
350
4492円025
 195. 171
  20立枯48605
1047
6619
250
7001. 400
57. 060
  21立枯76871
17060
6901
38
7896. 724
81. 399
  22立枯82463本
6109
10298. 575
63. 015
  23立枯20815
4725
2582. 067
326. 622
  24立枯26889
2852
1703. 912
62. 014
  25立枯12906
121
1649. 431
22. 115
  26立枯13884
165
972. 096
8. 292
  27立枯3626
352
522. 709
15. 716
  28立枯3003
147
589. 394
52. 265
北海道庁統計書』『北海道庁勧業年報』より作成。

 また林木以外の雑産物としては、草、地竹、柴、硬石屑、葡萄実、蕈、コクワ実、栗実、枝、蔓、末木、桑葉、蕨、筍、笹、蕗、木の実の類があった。十九年の札幌郡の場合、草二〇〇束一円、地竹五〇〇束五円が、二十年の場合、地竹六七〇束六円七〇銭、柴八〇束一円六〇銭、硬石屑三〇〇坪三二銭四厘が払下げられている(北海道庁統計書)。
 二十七年九月、二十一年の規則が廃止され、代わって「北海道官有森林原野産物公売規程」および「北海道官有森林原野産物特売規程」が制定された。このうち「特売規程」は、二十三年の勅令「官有森林原野及産物特別処分規則」に準拠して、公共の用途や災害復旧ないし旧慣による地元人民への売渡しなど特定の場合には、産物を競争に付さずに随意契約で処分することができると定め、主副産物の種類を次の二種類に区分した。
〈主産物〉 立木、木材、末木、枝条、根株及粗朶、竹
〈副産物〉 樹皮、樹葉、柴草、蔓、脂液、蔬菜、樹実、土石、篠箬、菌蕈及薬料
 林木の払下は、十九年以来本数単位で払下げてきたが、二十八年制定の「森林収額予算調整手続」により翌年より材積単位に改められ、用材・薪材を区別して払下げることとされた。二十九年より三十一年の札幌郡の官有森林原野主産物払下状況は、表23のとおりであった。
表-23 札幌郡官有森林原野主産物払下状況
材積量代 金
明治29年用材
薪炭
13447尺〆524
 527棚   537
5107円063
 155.  365
 30用材
薪炭
11667尺〆575
 937棚   114
2852.  263
 315.  712
 31用材
薪炭
6996尺〆139
553棚   878
1568.  825
 189.  967
北海道庁統計書』より作成。