札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第2巻 通史2

第五編 札幌本府の形成

第三章 殖産興業の扶植

第三節 官営工場の設営

二 工業局管理工場

 政府は九年九月各庁の作業費を一般経費から区別して受払例則を作り、十年七月さらに作業出納条例を定め、十年度から実施している。開拓使は、諸作業所建設の一応目処のついた十一年二月に、まず職工例則並びに取扱規則を設け、機関取扱、鍛工、鋳物、度量衡、木工、塗師の六科とし、日給を表3のように定めた。十月職工例則中服務時間を更生し、事業繁劇により一年のうち平均九時間の労働時間の規定を越える時は、その等級に応じて表4のように増賃金を給することとした。なお各作業場の十四年十二月現在の係員、職工の配置は、表5のとおりである。
表-3 職工日給表
等給日給
1等65銭
60
50
2等45
3等40
4等35
5等30
6等25
7等20
8等15
開拓使事業報告』より作成。

表-4 職工日給増賃金表
等給日給
1等81銭
75
63
2等55
3等50
4等44
5等38
6等35
7等25
8等19
 季節就業時間

2月1日
4.30
午前 7時00分
午後 4:00

5. 1
7.31
午前 6:30
午後 4:30

8. 1
10.31
午前 7:00
午後 4:00

11. 1
1.31
午前 8:00
午後 4:00
開拓使事業報告』より作成。

表-5 器械場配置人員一覧
種 目係 員職 工総計
判任御用係局雇等外1等2等3等4等5等6等7等8等
水車器械製造所1人0人1人3人5人0人1人2人1人3人8人3人9人0人0人0人27人32人
蒸気木挽器械所0020200120122000810
木工所00391200111717171083048799
煉鉄所0211400893561211235963
製鉄器械所001122020011000179
鋳造所00011004610250001819
厚別水車器械所01124001123900001620
合計1391730212936263533361428222252
開拓使事業報告』より作成。

 ついで厚別水車器械所の建設も目処のついた十二年六月、十二年度以降作業費出納条例を施行することにした。これにより従来本庁定額支弁で処理してきた各工場の経費を次のように変更した。工場を蒸気器械所、水車器械所木工所、煉鉄所、第一鋳造所、製鉄器械所、厚別水車器械所の七部に区分、それぞれ資本金を定め、一般経費から区分した。そしてその経営によって得た利益を、作業員の給与をはじめその作業所への投下資本一切の償却に当てることにした。損失ある場合は一応営業資本欠額補塡として定額より補給した。また益金のある場合は、消費した興業費及び営業資本欠額補塡の分を償却することとした。その経営は順調とはいえないが、『開拓使事業報告』によって厚別器械場が施設されて、七器械場の設備が一応整った十三年度の営業状況は表6のとおりとなっている。
表-6 器械場営業状況(明治13年度)
工場資本金営業諸費営業収入損益営業品目
水車器械所11370円51519893円90221388円496+1494円594家財,柾
蒸気器械所2608.3973975.2875762.423+1787.136挽分
木工所22045.72942890.02138016.929-4873.092農具,車橇,家財,家具,建具,諸機械
煉鉄所21088.01829544.32929964.595+420.266農具,家具,諸機械
鋳造所6266.4697547.7067969.469+421.763農具,家具,鍋釜,機械
製鉄器械所4682.4733465.6701354.915-2110.755農具,機械
厚別水車器械所12198.3245729.6892213.362-3516.327屋根,柾,雑品
開拓使事業報告』より作成。

 この七器械場の営業について、廃使の十五年六月、工部省に引き継がれた受渡書に、以下のように記されている。
道路橋梁ヲ建築シ庁舎家宅ヲ造営スルハ開拓ノ最モ要務ニ属スルヲ以テ、本使創業ノ際夙トニ営繕係ヲ置キ専ラ建築ノ業ヲ掌ラシムルモ、事皆草創ニ係ルヲ以テ万品悉ク之レヲ他道ニ仰カサルヲ得ス、於是明治五年蒸気水車両器械ヲ建設シ漸次錬鉄所木工所等ヲ設ケ、凡ソ建築上ノ物品ヨリ農具其他ノ諸器械ニ至ル迄同所ニ於テ製造シ、猶官民ノ需用品ヲモ可成他道ニ仰カス、管内ニ於テ供給セシムルノ見込ヲ以テ、漸ク事業ヲ拡張シ爾来今日ニ至ル迄管内一般道路橋梁堤防溝渠ノ築作、官廨倉庫ノ営繕及諸器械製造官舎売貸等ノ諸務ニ至ル迄同課ニ於テ皆之レヲ管掌セリ。故ニ諸工場ハ素ヨリ公共ノ便ヲ計リ設立セルモノニシテ、敢テ損益ヲ算勘シ其利ヲ射ルノ工場ニ非サレハ、物品製作ニ係ル経費ノ如キモ従来渾テ通常ノ定額内ヨリ支弁シ、其製作品ヲ販売セシ代価ハ其儘悉ク納附セシカ、明治十二年ニ至リ新タニ作業費出納条例ヲ設ケ、爾後該条例ニ拠リ維持スヘキ旨ノ達アリ。然レトモ前条概陳スルカ如ク工場ノ事業多クハ建築用品ノ製造ニ係ルヲ以テ、建築事業ノ多寡ニ依リ工場ノ収支ニ影響スル尠(セン)少ナラス、故ニ一朝条例ヲ実践セントスルハ、素ヨリ至難ノ事業ナルヲ以テ実際履行シカタク
(北海道事業管理局 工業 北海道史編纂資料)

 これら北海道の緊急開発のために営まれた工場であって、採算のためでないことを縷々述べている。