札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第2巻 通史2

第五編 札幌本府の形成

第三章 殖産興業の扶植

第二節 官園等の設置と山林政策

二 山林政策及び農業博覧会

 八年の官林調査結果によれば、札幌近傍官林を一等官林(これは「良樹森列シテ運輸ノ便ナル者」―森林監護仮条例第一条による。以下同じ)、二等官林(良樹森列スト雖、町歩狭少或ハ運輸不便ノ者)、三等官林(薪炭山及其他雑林)に三区分し、それぞれを小区に分け、一等官林については地形・林相・水利等を略述している。以下、その中から札幌地域を拾ってみる。
一等官林
八垂別ハ札幌ヲ距ル三里、地形平衍、南ニ面シ西北風ヲ受ケス、土質可ナリ。楢、桂、刺楸、類多ク、椴ハ多ク伐採セリ。
発寒ハ札幌ヲ距ル三里、地勢嶮ニシテ東ニ面シ、発寒川東流、土質可ナラス。月桂、刺楸、楢、其他雑木多シ。蝦夷松ハ質良ナラス。水源椴、箬竹多シ。
真駒内ハ札幌ヲ距ル三里、北ニ面シ平衍、土質可ナラス。水源嶮ニシテ椴、蝦夷松、及月桂、刺楸等多ク、椴ハ上流ニ向テ伐尽シ、三里許ノ所ハ楢多シ。土質皆可ナリ。
簾舞ハ札幌ヲ距ル三里、地形北ニ面シ嶮ナリ。蝦夷松、椴、大樹多ク楢、桂、月桂、刺楸多シ。木質可ナリ。「バン」ノ沢「ソマツフ」沢樹木繁茂ス。近来多ク伐採ス。
厚別ハ札幌ヲ距ル三里余、地形平坦北ニ面シ、土性宜ク木質良ニシテ札幌郡山林ノ最タリ。椴、蝦夷松多ク、楢、刺楸、桂等多シ。近来多ク伐出ス。
野津幌ハ札幌を距ル五里、地勢南ヨリ北ニ向テ漸ク低ク、平林ニシテ土質可ナリ。椴、蝦夷松多ク殊ニ大木アリ。其他月桂、赤楊(ハンノキ)、刺楸等アリ。近来椴ヲ多ク伐採シ石狩川ヲ下ス。
二等官林
円山、藻岩、本庁ヨリ西北官園外琴似川迄  鴨々水門ヨリ上、本八垂別、下豊平橋辺迄  平岸村ヨリ精進川迄南方川筋  円山神社境内外、及円山村ヨリ琴似村界平林  篠路太ヨリ石狩川筋対雁村迄両側平林、琴似村ヨリ西南円山ニ接ス  篠路村ヨリ花畔村ノ間  雁来村ヨリ豊平川沿岸対雁村迄平林、篠路村ヨリ東北「ケレトウシカ」沼平林  下手稲村星置往還筋、小樽内川迄平林  篠路太ヨリ石狩川筋幌向太迄両側平林
三等官林
「ヘンケハツタリベツ」ヨリ豊平川上、両側定山渓迄山林、定山渓ヨリ豊平川上筋山林  同所ヨリ白井川筋山林  上手稲村ヨリ西方二股迄平林  同村ヨリ北方、発寒三樽別落合迄平林、月寒村ヨリ新道筋「アシヽベツ」迄  白石月寒両村間平林  平岸村東方「モツキ」川筋  有珠新道豊平川筋湯ノ沢ヨリ定山川上迄、白石村ヨリ東北平林  「アシヽベツ」ヨリ野津幌迄ノ間街道ヨリ北側  円山村ヨリ北琴似川筋平林  上手稲村字「テイ子イニタ」川筋、落合迄平林  上下手稲村山  下手稲村、三樽別、軽川、星置、山林  発寒川字「モリ」辺ヨリ西北平林  琴似川ヨリ西北発寒川迄平林  丘珠村ヨリ東南豊平川方面平林  札幌村ヨリ北琴似川筋「レーレツフ」迄平林  丘珠村ヨリ苗穂村ノ間平林  苗穂村ヨリ東南雁来村ノ間平林  丘珠村ヨリ篠路村琴似川ノ間平林  篠路村ヨリ西琴似川筋平林  同村ヨリ「モイレトウ」ノ間平林
(開拓使事業報告 第一編)

 この地域の林木の伐出しは宝暦五年(一七五五)の飛騨屋武川久兵衛の請負に始まり、天明八年(一七八八)には阿部屋村山伝兵衛が再び伐採を請負い、とくにこの時に多く札幌付近から伐り出された。それでも山岳地帯には良林が残っており、それが当面の伐出しの対象になっているようである。