札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第2巻 通史2

第五編 札幌本府の形成

第一章 札幌本府の建設

第四節 初期移民と村落の形成

二 庚午移民の入植

 ここで組頭の一人に任ぜられたのは、後に苗穂村副戸長などをつとめた坂野元右衛門である。元右衛門は文政六年(一八二三)に生まれ、福井県今立郡大屋村の出身で、万延元年(一八六〇)に大野藩による茅部郡野田生村(現八雲町)の開墾のために蝦夷地へ渡る。元右衛門はこの二〇戸七五人の取締となった。開墾事業は元治元年(一八六四)頃に中止になり、元右衛門は帰途、酒田にとどまることになった。そして今度は庄内藩浜益村開墾にともない再び来道し、一〇戸二四人の百姓総代をつとめた。戊辰戦争がおき庄内藩蝦夷地をひきはらったので、元右衛門も酒田にもどることになった。

写真-10 坂野元右衛門の履歴書(共進会書類 道文4553)

 このように彼は蝦夷地開墾の先駆者であり、北海道の農作事情には相当通暁していた。十文字大主典も、「組頭元右衛門ハ往年浜益辺ニ罷在、土地時候蒔仕付ケ之比合(ころあい)相心得居候」(市史 第七巻四六頁)と評価している。元右衛門と同じ経歴をもつ者には、同じ苗穂村の高田春吉、水森源五郎、大坂利右衛門、石川乙蔵がいた(東区拓殖史)。