札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第1巻 通史1

第二編 先史の札幌

付章二 先史文化人の形質

第三節 道南西部の古人骨

 この地域で最も古い資料は、伊達市北黄金貝塚より出土した縄文時代前期の人骨群である。この貝塚は、円筒下層式土器を主体とする遺跡であるが、この土器は東北地方北部に濃密に分布しているので、文化的には本州東北地方と共通する点が多いと思われる。一二体の人骨が発掘されているが、そのうち計測に耐える保存良好なものは、男性三体、女性二体である。歯はいずれも著しく強く磨耗(まもう)しており、当時の生活の厳しさを想像させる。頭骨の長幅示数をみると、男性では七六・六、七一・六、八〇・八で、それぞれ中頭、長頭、短頭型に属するが、平均すると七六・三となり、北海道アイヌの平均値に近い。女性は七二・四と七四・九で、アイヌ平均よりもかなり小さく、ともに長頭型に属する。頭骨の計測値をもとに、本州の縄文人と近世アイヌとの間にペンローズの形態距離を求めると、男性では三例中一例、女性では二例中一例がアイヌに近い、という結果が得られる。このことは、縄文前期の北黄金貝塚人は、基本的には本州の縄文人と共通する形質を有していたが、一部にはすでに近世アイヌに通じる特徴をも表出していたことを物語っているように思われる。