札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第1巻 通史1

第一編 札幌の自然史

第五章 石狩海岸平野の形成

第三節 海岸および後背低地の堆積物

 五七〇〇~五八〇〇年前ころは、縄文海進の最盛期で、海水面も現在より四~五メートル高くなった。この地域においては、紅葉山砂丘の外側に分布する花畔砂層中の自然貝層の堆積面高度などから、当時の海水面は少なくとも三~四メートル高かったと推定されている。しかし、紅葉山砂礫州(→砂丘)の内側には海は浸入できなかったので、外側には海成層(花畔砂層)、内側には沼沢地堆積物や河川氾らん原堆積物あるいは泥炭などの陸成層が、時期を同じくして形成されることになったのである。
 花畔砂層紅葉山砂丘の外側、花畔砂堤列地帯を構成する海成砂層である。この砂層は主として、粒径がそろった中粒砂からなるが、場所によって粒径が粗くなり砂礫が多く含まれることもある。石狩町生振地区の砂礫相には暖流系の貝類を多く含む自然貝層がみられ、その14C年代は約五八〇〇年前である。砂相にはカシパンウニの化石が、散点的ではあるが多く含まれている。
 この花畔砂層は、紅葉山砂礫州(→砂丘)が形成されたのち、五七〇〇~五八〇〇年前から三〇〇〇年前くらいまで続いた高海水面時の浅海を陸側から、順次、埋め立てるように堆積したものと考えられる。それは、花畔砂層中から得られた14C年代値が、海岸側へ向かうほど新しい年代を示すことなどから考察されたものである。したがって、現在、この低地でみられる一〇〇列にも及ぶ砂堤列は、高海水面時の浅海底に沿岸流で形成されたものなのである。