札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第1巻 通史1

第一編 札幌の自然史

第四章 台地と扇状地

第五節 最終氷期の地史

 前節までに、小野幌層の堆積にはじまる最終氷期(七万年~一万年前)の札幌市域でみられるいろいろなできごとを探ってきたが、表2はそれらを総括して示した編年表である。この表にしたがって、およそ、七万年前から一万二〇〇〇~一万三〇〇〇年前までの札幌市周辺の地史をまとめてみよう。最初に断っておきたいことは最終氷期の時代区分である。残念ながら日本においては、最終氷期の共通的な時代区分はない。したがって、ここでは便宜的にヨーロッパの時代区分を念頭において、前・中・後・末期の四期に分けて記述する。

表-2 後期更新世の地史総括表

 およそ七万年前から四万五〇〇〇年前までを前期とする。ほぼ、ヨーロッパでいうウルムI亜氷期にあたる時期である。残念ながら、今のところ正確にこの時期にあたる堆積物は明らかでない。しかし、野幌丘陵の東側、江別市の学田、広島町の北の里付近の台地に分布する小野幌層(下部)とされたものが、この時期の初期の堆積物である可能性がある。なぜなら、その地層にはさまっている火山灰が、厚真降下火山灰層と呼ばれるもので、最近、その中の第二層が洞爺火山起源とされ、それは一三万年と七万年前の間ころとされた。したがって、この地域の小野幌層(下部)は最終間氷期から最終氷期へ移行する時期とみられるのである。もしそうだとすると、この時期は寒冷化が進んで、エゾマツあるいはアカエゾマツ、カバノキ属・ハンノキ属が優勢な森林が札幌周辺をおおっていたと思われる。また、当時の山地は裸地状を呈し寒さによる機械的な風化が進行していたものと思われる。