札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第1巻 通史1

第一編 札幌の自然史

第四章 台地と扇状地

第二節 最終氷期の堆積物

 支笏軽石流堆積物は、大地を埋めつくし、森林を焼きつくし、それがおおった当時の札幌市域(南部から東部にかけて)は荒漠とした軽石流の台地が広がった。しかし、その堆積物は激しく浸食され、下流にはそれらを起源とした新しい堆積層が形成されることになる。札幌市周辺の台地上や河川流域には、支笏軽石流堆積物に由来する、最終氷期末のいろいろな地層がみられるのである。
 江別市野幌周辺に分布し、野幌レンガの原土として、明治三十年代以来採掘されてきたものに元野幌粘土層がある。この粘土層は支笏軽石流起源と考えられる細粒の軽石粒を多量にふくむ火山灰質の粘土で構成され、ところどころに泥炭層もはさまっている。この付近には支笏軽石流堆積物は分布していないので、この地層は小野幌層の上位に直接かさなっている。泥炭層からはアカエゾマツの毬果やグイマツ・エゾマツなどの材化石が発見されている。また、花粉化石はトウヒ属・カラマツ属・カバノキ属が優勢でモミ属・ハンノキ属などもともなう。このような花粉組成からかなり寒冷な気候が推定できる。堆積時期は、この地層の最上部から採取したエゾマツと思われる木片化石の14C年代値から二万八〇〇〇~二万九〇〇〇年前で、支笏軽石流が堆積した直後であると考えられる。残念ながら、札幌市域ではこの地層に対比できそうなものはみつかっていない。