札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第1巻 通史1

第一編 札幌の自然史

第四章 台地と扇状地

第二節 最終氷期の堆積物

 降下軽石堆積物の上位に位置する軽石流堆積物は、カルデラ陥没を起こした破局的な大噴火の際に流出したものである。降下軽石堆積物は、空中から降り積もったものであるから、軽石の粒径もそろい、層状をなしている。これに対して、軽石流堆積物は含まれる軽石の大きさもまちまちで、角ばったものが多く、堆積物全体としても層状にはならず、雑然とした堆積層となるのが特徴である。このような軽石流堆積物は、熱雲堆積物(*4)といわれるもので、摂氏四〇〇~六〇〇度という高温の水蒸気と軽石や火山灰が、マグマの活動で生じた地表の裂け目から水平方向に噴き出して、地形の高いところを避け、谷を埋めながら流下して堆積したものである。したがって厚さも厚く、谷を埋めたような場合には一〇〇メートルを越えることもある。
 このように、厚く堆積したところでは、長時間にわたり高温な状態が続く。とくに、その中心部では軽石や火山灰が溶かされてお互いに結合(溶結)し、さらに、上層の加重により圧密される。その結果、含まれていた空気が排出され固化するのであるが、その時、軽石が引きのばされて偏平になったり、レンズ状に黒曜石(火山ガラス質火山岩)が形成されたりするのである。また、場所によっては二次噴気孔などが形成される(写真1)このように、軽石流の中心部では、溶結作用で生成された「溶結凝灰岩」とよばれる固結した岩相になる。しかし、軽石流の上部や下部あるいは末端部では、温度の低下により、岩相は全体として、固結の度合も弱く、がさがさした状態である。
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写真-1 支笏軽石流の露頭(南区常盤付近)
細長く白っぽい部分は二次噴気孔の跡

 支笏火山の軽石流堆積物も全く同様なものであるが、その分布は、支笏湖の周辺はもとより、図2に示したように、北は札幌から南は白老町萩野、東は早来町、西は喜茂別町にまで及んでおり、その体積は一〇〇〇立方キロメートルと見積もられている。

図-2 支笏軽石流堆積物の分布

 *4 熱雲(ねつうん) 比較的発泡の程度が低い高温の火山物質からなる小規模な狭義の火砕流。一九〇二年プレー火山(カリブ海の小アンチルス諸島のマルチニク島の火山)の噴火のとき発生した火砕流を典型として命名されたもの。石英安山岩~安山岩質のマグマの活動で特徴的なものである。