札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第1巻 通史1

第一編 札幌の自然史

第三章 野幌丘陵の地層

第二節 下野幌層の動・植物化石

 貝化石や哺乳動物化石を含む下野幌層の基底砂礫層には植物化石はみられないが、その上位に堆積するシルト・砂互層やシルト層には何枚かの亜炭層がはさまり、植物化石や花粉化石が検出される。いま、花粉化石組成を手掛かりに下野幌層を分帯すると表3のようになる。この表からもわかるように、下野幌層には、ほぼ全層を通して、トウヒ属・モミ属・ツガ属の花粉化石が含まれている。

表-3 下野幌層の花粉化石帯

 北海道に現在分布するトウヒ属には、エゾマツとアカエゾマツがあり、モミ属はトドマツである。また、ツガの仲間は、現在、北海道には分布していないが、日本列島には、福島県を北限とする温帯域のツガと、青森県の八甲田山や中部山岳地帯にみられる冷温帯北部~亜寒帯のコメツガとの二種類が自生している。下野幌層からのツガ属の花粉化石は、共伴する花粉化石から考えておそらくコメツガである。したがって、下野幌層が堆積した時期はエゾマツとコメツガで代表される冷温帯北部から亜寒帯の気候で、現在より冷涼であったと推定される。

写真-6 ツガ属の花粉
(直径80ミクロン)