河出書房新社・東京カートグラフィック/WEB版デジタル伊能図【お試し版】

WEB版デジタル伊能図ユーザーズガイド


地名等について  目次へ

星埜 由尚(伊能忠敬研究会 特別顧問)

 地名は、地図を構成する重要な要素である。伊能図も例外ではない。従って、伊能図にはおびただしい地名等が記載されている。幕府に提出した「大日本沿海輿地全図」に記載された地名についての詳細は、焼失したためわからないが、副本、模写本から地名等を読み取ることができる。
 平成 18 年(2006)に上梓した『伊能大図総覧』の作成に当たり、収載された伊能大図の副本、模写本に記載された地名等をすべて読み取り地名索引を作成した。平成 25 年(2013)に刊行した『伊能図大全』においても、この地名索引を踏襲した。『デジタル伊能図』においては、基本的にこの地名索引を用いているが、東京カートグラフィック株式会社が地名等に伊能図上における位置情報を付加し、地名をデジタル検索できるように加工している。
 今回『デジタル伊能図』作成に当たり、地名索引は、すべて再検査を行い、誤り、漏れなどなきよう万全を期したが、伊能図における地名の字体は、字大の過小なものも多く、また、難読地名も多数あり、いまだに誤り・漏れが存在する可能性がある。誤り・漏れがあればご容赦願うとともに、ご教示願えれば幸である。v 伊能大図には、35,000 余の地名等が記載されている。国名、郡名、村名のほか、山名、島名、岬名、河川湖沼名が主たるものである。宿駅には○、天測点には☆、湊には舟形の印が付されており、神社の鳥居印も数は少ないが描かれている。江戸府内図には、村名、町名のほか、大名・旗本の屋敷名が詳細に記載されており、その他、橋、御門なども注記されていて、地名等の総数は、約5,360 に上る。但し、江戸府内図においては、村名、町名などは重複して記載されているものが多い。
 地名索引の作成に当たっては、滝澤主税氏の労作『地名研究必携』及び『日本地名分類法』を参考にした。これらの著作は、滝澤主税氏が天保郷帳に記載されている町名、村名を体系的に整理されたもので、伊能図に記載の地名の読み方等については、これに負うところが非常に大きい。改めて滝澤主税氏に感謝申し上げる次第である。